Amazonの本社で飛び降り自殺が起きたことについて従業員200人が匿名アプリで本音を暴露
By gfpeck
イギリスのAmazonの倉庫付近で従業員がテント生活をしていることが報じられ、アメリカのAmazon本社では従業員が飛び降り自殺を図ったという衝撃的な事件が起きるなど、Amazonの過酷な労働環境が浮き彫りになりつつあります。そんなAmazonの従業員約200人が、会社員限定の匿名SNSアプリ「Blind」の中で、自殺未遂が起きた理由やその後の会社の対応について話し合っており、その内容をBusiness Insiderがまとめています。
Amazon employees share thoughts about suicide survivor - Business Insider
http://www.businessinsider.com/amazon-employees-share-thoughts-about-suicide-survivor-2016-12
◆1:自殺未遂について、会社から統括的なメール連絡がなかった
Amazonに勤める多くの従業員は、本社の屋上から飛び降りるほど追い詰められた自殺未遂者が出たことについて、問題の対処に関する全体メールがなかったことに動揺しているとのこと。Amazonの従業員はBlindの中で以下のように語っています。
「何もなかったかのように振る舞うAmazonを非難します。責任が誰にあるにせよ、私たちの同僚が自殺を図ったんですよ!おざなりでも自殺未遂が起こったことを認める全体メールを出し、ほかの従業員に対してEAP(従業員援助プログラム)を勧めるだけでも大きな違いがあります」
「同僚が仕事のことで自殺しようとしたのに、会社では誰もこの件について話していません。ジェフCEOや上司からメールも来ないし……。まるでみんなの中で日常に戻ったようです。そうすべきではないのに」
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◆2:PIP(業績改善計画)への非難
Amazonは多くの企業と同様に、業績の悪い従業員が配置される「PIP(業績改善計画)」というシステムを導入しています。自殺未遂を図った従業員もPIPに配属されていたことがわかっており、多くの従業員はストレスの多い職場環境だったと非難しています。Amazonの従業員の声は以下のようなもの。
「もう2年勤めていますが、健康に問題を抱えつつ、泣きながら夜通し働いたこともあります。なぜならPIPに入れられたり、低評価を下されるのが怖いからです」
「PIPは呪いみたいなもの。しばらくの間、不眠とうつに悩まされたことがありましたが、なんとか乗り越えました。ストレスは自分と家族に伝わるんです。いつか終わりが来ることを祈っています」
「何人かのマネージャーはPIPを怒りのはけ口として使っています。正しい手続きをとらないひどい上司に賢い人材が浪費されていくのを見るのはつらい」
◆3:労働組合の必要性
Amazonに労働組合が存在するかどうかは別にして、Amazonの従業員は労働組合を立ち上げる時期にさしかかっています。しかし、多くの従業員はあまりやりたがらない実情があるようです。
「ときどきAmazonのフランチャイズ環境で働いていましたが、Amazonは上級一般職の人であっても、労働組合の結成を反対しています。もし労働組合を立ち上げて戦う傾向があると判断されれば、クビになる可能性だってあります。私には善し悪しは判断できません。それが会社の方針ですから」
「一時期、ソフトウェアエンジニアの労働組合立ち上げのため、ドメインまで買って準備したことがありますが、Amazonでは本当にできないんです。上級一般職のための労働組合は合法的には存在できないんです」
◆4:ジェフ・ベゾスCEOへの批判
何人かの従業員は、ベゾスCEOが作り出した競争的な社内文化について、以下のように名指しで批判しています。
「現実的に、ジェフ・ベゾス氏は目を覚ますべきです。NYTの記事に応えて全体メールを送ったように、『彼が知るAmazonではない』かもしれないけど、彼が持っているAmazonです。彼の作った文化が変わるには、トップダウンで来なければダメです」
「ハロー?ベゾス?あなたはどこにいるんですか?今が違いを見せるチャンスですよ。あなたのばかげた宇宙探索のことを言っているのではなく、Amazonを構成するあなたの子どもの話をしているんですよ。私たちのこと、覚えてますか?」
◆5:助けの求め方
仕事が原因で自殺にまで追い込まれることは回避されるべき問題ですが、Amazonの社内でも「誰かが自殺してしまっても仕方ない」と考えられているわけではありません。Blindでは多くの従業員がつらければ周りに助けを求めるよう促しています。
「私の周りでも苦しんでいる人がたくさんいるように見えます。私は絶対にできる限りの手助けをする気持ちがありますよ」
「『人生の黄金ルール:どんな時でもあなた自身を守ること』。救いの手を差し出してみて、私が手を取るから。もしあなたが切迫した状況にいるのなら、人生はお金より、仕事より、プロジェクトより、上司より、チームより、そして友だちや家族より大切なんですよ」
「もしあなたが(自殺未遂者と)同じような状況にあり、助けが必要なら、私を頼ってみてください。私は心を開いてあなたの話をしっかり聞いて、考えられる限りのベストな手助けを行います。多分私と同じように思っている人々はたくさんいるから、とにかく救いを求める手を差し出して。自分で自分を傷つけることだけはしないでください」
◆6:Amazonでは絶対に働きたくない
Blindのすべての企業が顔を出せる一般フォーラムで、241人のユーザーにミニアンケートをとった結果、41%が「最高のオファーより10万ドル(約1150万円)高く提示されてもAmazonでは働きたくない」と答え、Amazonで働いた経験を持つ12%が「二度と働きたくない」と返答しているとのこと。
By zinger
◆7:これはAmazonの責任ではない
一部の従業員は、今回の自殺未遂が「Amazonだから」起こったことではなく、「Amazon以外のどの企業でも」起こり得るとしています。注目するべきは、Amazonの労働環境に不満を持っていない人物が1人だけではないということです。
「今回の件をAmazonや上司の責任と決めつけないでください。私たちは飛び降りた人が誰で、どんな環境にいたのか知りません。彼ら(自殺未遂をする人)はこれまで失敗したことがなくて、初めての失敗に対処できなかったのかもしれません。彼らは苦難を乗り越えてAmazonに入社してきたのかもしれません。彼らは孤独で、落ち込んでいて、打ちのめされていたのかもしれません。しかし彼らの状況はすべて、どんな会社でも起こり得ることです」
「私たちは潜在的に自殺寸前の人々を気遣って、いつもバラ色のフィードバックを送らなければならないのですか?両親は私がめちゃくちゃだった時にとても厳しく当たりましたが、自分を殺すことはなく、なんとか生き残りました。なぜ社会で暮らす人々全員が、いいことだけ、肯定的な経験だけを受けて、バラ色の道を歩けると思っているのですか?」
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